町田康さんの「しらふで生きる」、こねくり回したひねくれた日本語の文章（難解で高尚とも言うのかも）を読んだ後、
「大人のボーカル＆ピアノ教室」で知り合った20代の若者A君に貸してもらった「線は、僕を描く」にトライ。
A君の若々しい感覚で感動した本を還暦過ぎたおばはんでも分かち合えるか甚だ疑問ではあったが、

とても感動しました。
高校生の時に両親を事故で亡くし、生きる意義や目的や、食べたり喋ったり眠ったり、生きるための術すら、体から抜けてしまっていた主人公が、大学のアルバイトで知り合った、水墨画の大家に、「箸の持ち方が美しい、きっと素晴らしい水墨画が描ける」と、半ば強引に弟子にされて、そこから、体も心も快復していく
というような話。
「なんで、箸の持ち方で水墨画の才能がわかるねん？漫画みたいな展開やな」と、斜めに構えて読み始めたが、何より、綺麗で素直な流れるような日本語に魅せられて（前の「しらふ」がややこし過ぎたから、余計にそう感じたのかも）、どんどん読み進むことができました。
水墨画はまるで知らない世界だけど、書道は長くやってるので、墨の磨り方の描写など、墨の良い香りが文章からも感じられるようでした。

最後まで読んで、主人公を弟子にした恩師の思いは、水墨画家を育て上げたいということではなく、一人の彷徨う若者の力になりたいということだと知って、改めてまた感動。

水墨画の描写がとても丁寧だなと、作者の砥上裕將さんを検索したら、ご自身も水墨画家さんなんですね。
余談ですが、本を読んで、勝手に砥上さんのイメージを、カバーのイラストの主人公の青山霜介さんと重ね合わせてたので、ちょっとイメージ違った。
「ニューヨークシティセレナーデ」聞いて、その後、クリストファークロスさん見た時のギャップみたいな感じ。
砥上さん、すみません😂